【書評】無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語

 著者は、「りらくる」創業者の竹之内 教博さん。

 「りらくる」のホームページを見てみました。たしかにサービス価格はわりと安いです。

この技術を、この価格で。

りらくる | 全身もみほぐし60分3600円(税込)のリラクゼーション (relxle.com)

 この本を読むまで「りらくる」を全く知らなかったです💦竹ノ内教博さんも初めて知りました。自分は、スポーツをしてあまり凝らない体質で、マッサージをあんまりしないからかもしれません。この本は、アマゾンでベストセラーという印がついていたので、気軽に手にとってみました。

 タイトル通り、竹之内 教博さんが「りらくる」創業から7年で270億円を手にするまでの起業物語が書かれています。そのほか、起業の成功の秘訣を竹ノ内教博さんが実際の出来事を交えながら惜しみなく語っています。

 ふわふわとした企業の理想とか理念とはかけ離れた地を這うようなリアルな成功の秘訣を知ることができるという意味で、起業を目指す方におすすめの実務本です。

目次
1. 無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語
2. この本をおすすめの人
3. 本を読んだ感想
4. 参考図書

無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語

タイトル無名の男がたった7年で270億円手に入れた物語
著者竹之内 教博
出版社扶桑社
発行日2021年4月20日
本体価格1,400円

 竹之内 教博さんは、今は、株式会社T’sインベストメントの会長さん。株式会社T’sインベストメントのホームページでは、次のように案内されています。

竹之内教博

1977年生まれ、大阪府出身。20代の頃は美容師として複数店舗の総括しながら、美容室のコンサルタントとして仕事をしていました。30代になった時に20代で学んだことの総決算として「りらくる」を創業しました。現在は、飲食事業、有料職業紹介所の運営、アプリ開発事業、キャバクラ、ECサイトなど10以上の事業を手掛けています。

プロフィール | 株式会社T’sインベストメント (ts-investment.jp)

 この本は、りらくる創業までの竹之内 教博さんの生い立ち、りらくる創業までの経緯、りらくる創業からの様々な取り組みを、彼の経営の考え方を交えて、リアルに語っています。

この本をおすすめの人

起業を考えている方。経営者。

本を読んだ感想

 起業の成功率は高くありません。実際、このような統計データもあるようです。

あるサイトによると、起業してからの生存年数率(起業の成功率ともいえます)は1年で40%、5年で15%、10年で6%、20年で0.3%、30年で0.02%とのことです。

逆に言えば、過半数の60%の企業がたった1年で倒産し、10年で94%、20年以上ではほとんど全部と言っていいくらいの企業が倒産していることになります

起業の成功率は実際にはどれくらいなのでしょうか? | Repetition(レペテイション) (praisevast.com)

 これから起業を目指す人はこのリアルな数字をみると少し躊躇しちゃうかもしれない。

 でも、この本は、起業の成功率を出来るだけ高めるための具体的なノウハウが赤裸々に語られています。難しい起業だからこそ、夢見がちなふわふわした態度を戒めて、地に足のついた「成功の秘訣」が実体験とともに大切だよって分かりやすく説明されています。たしかに、この方法なら、創業の高い壁が少し低くなるかも。

 この本の内容は読者に楽しんでいただくとして、気になった点2つを挙げて、考えてみたいと思います。

成功者を真似る

 多くの人は、起業の成功率を高めるために、「成功者を真似する」が大切と言っているように思いますし、自分もそう思います。

 この真似は、決して、商品やサービス、地域、ビジネスの仕方や価格まで、何から何までマルパクリって意味じゃなくて、「経営の考え方」「ビジネスモデル」「ビジネスの仕組み」をそのまま自分のビジネスに取り入れるって意味と思いますし、中身に詰め込む具体的な商品やサービスは「簡単に真似できない」ものにするほうがよさそうです。

 だた、仮に成功者の真似をしようと決めても、一体、成功者の何を真似て、何を真似せずに独自にするかを分けて考えることはわりと難しいかも。なぜなら、「経営の考え方」「ビジネスモデル」「ビジネスの仕組み」は、ビジネスそれ自体じゃなくて、そのからくり的なものだから、そこを突き止めたり、抽象的にものを考えたりしなければいけないからです。

 あと、産業障壁が低いビジネスの場合でも、巨大なビジネスの仕組みをブルトーザーのように作り上げていけば、その巨大さが「簡単には真似できない」ので、一気呵成に誰も真似できないスピード感をもってビジネスを拡張していくことも一つのやり方かもしれません。いずれにしろ、成功者の何を真似て、何を真似せずに独自にするかをよく考えなきゃいけない気がします。

 あっ、でも、アーティスト、スポーツ選手、イノベーターなど、生み出すものが独自すぎちゃうと、ビジネスの仕組みであれこれ悩む必要が少ない気がします。それでも、生み出す過程で、かなり成功者を真似ているはずで、こういう唯一無二に見えるものでも、真似て学んでいるんだと思います。

定型化は有効か

 企業では、属人的なパフォーマンスを嫌って、その秘訣をノウハウや知見として落とし込んで、横展開したり継承したりするよう努めていると思います。ある高いパフォーマンスの人だけしかできない仕事が色々あると効率が悪かったり、その人が退職したら、ビジネスを継続できないなんてことになるからです。

 フランチャイズや全国展開するビジネスとかだと、サービスや商品が紋切型で、どこでもいつでも同じものを買えちゃうようになっているけど、そうしないと事業規模を均質に拡大できないからだと思います。

 こういう仕事の定型化って、「経営の考え方」「ビジネスモデル」「ビジネスの仕組み」に組み込まれた場合はいいんだけど、その仕事の成果が「簡単に真似できない」性質のものだったら、これは、定型化できないはずです。しようにも第三者がなかなか真似できないし、真似できないからこそ、会社の強みになっているからです。

 そうすると、「定型化」=「成功の方程式化」も、有効に働いたり、なかなか難しかったり、まちまちで、結局、そのビジネスの競争力の源泉になっているようなパフォーマンスだけは、定型化が難しいように思います。

自己採点(満点:☆☆☆☆☆)
読みやすさ☆☆☆☆☆
分かりやすさ☆☆☆☆☆
お役立ち度☆☆☆☆
ストーリーの一貫性☆☆☆☆☆
推奨度☆☆☆☆

参考図書

「6つの不安がなくなればあなたの起業は絶対成功する」坂本 憲彦(実務教育出版)

「起業で成功する人、失敗する人 」金原 隆之(フォレスト出版 )

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