【企業決算】ショッピファイー2020年本決算&2021年四半期決算、収益が大幅改善

  ショッピファイはカナダ発のECプラットフォーマーです。高成長企業としても知られています。

  この記事では、 ビジネスと決算の観点から、ショッピファイをご紹介します。

(引用;Shopify announces major product launches and updates at virtual event Reunite, including Shopify Balance and Shop Pay Installments | Financial IT

 決算ポイント

・高成長は続いている。

・財務基盤は強固。

・2021年第2四半期、利益体質が大幅に改善した。

1. ショッピファイとは?
1.1 本社
1.2 CEO
1.3 製品・サービス
1.4 営業地域
1.5 強み
1.6 ショッピファイとアマゾンの比較
1.7 日本での利用
2. 2020年本決算
2.1 売上
2.2 純利益/純損失
2.3 基本EPS
2.4 希薄化EPS
2.5 営業キャッシュフロー
2.6 投資キャッシュフロー
2.7 財務キャッシュフロー
2.8 バランスシート
2.9 配当
3. 2021年第2四半期決算
3.1 売上
3.2 純利益/純損失
3.3 基本EPS
3.4 見通し
4. 株式
4.1 上場証券取引所、ティッカー
4.2 株価チャート、時価総額
4.3 取扱い証券会社

ショッピファイとは?

 ショッピファイは世界175ヶ国のビジネスで利用されているECプラットフォームです。

 ショッピファイは ECプラットフォームのサービス利用料と消費者が商品を購入した時の決済処理手数料を主な収益源としています。各国の会社は、ショッピファイ上で自社ECサイトを構築し、商品を自社ECサイトに展示し、国内外の消費者に 商品を販売できます。

 最安毎月29ドル(約3,000円)で ショッピファイに出店できます。

 例えば、日本の会社が、 約3,000円を毎月ショッピファイに支払えば、自社ECサイトをショッピファイで構築でき、米国の方に自社商品を販売することができます。ショッピファイは小規模ビジネスの越境ECに適しています。

 写真のようにロゴはシンプルです。ショッピファイの仕組みを表現しているようです。

本社

 本社はカナダの首都・オタワにあります。 ショッピファイの売上の大半は米国です。

CEO

(引用;(1) Tobi Lutkeさん (@tobi) / Twitter

 トバイアス・トビ・ルーク(Tobias Lütke)。41歳。写真のように若いCEOです。創業者でもあります。小さい頃からコンピューターに慣れ親しみ、11,12歳ごろにはゲームのプログラムを修正していたそうです。テンセントやGoogleのように、コンピュータに精通した創業者です。

製品・サービス

 ショッピファイは、オンラインの ECプラットフォームを提供しています。世界175ヶ国、170万を超えるビジネスで利用されています。

 ビジネス オーナーは自社のECサイトを ショッピファイ のECプラットフォームに構築可能です。ECサイトの枠組み(テーマ)は ショッピファイ の ECプラットフォームに用意されています(有料、無料)。

(引用;50 Best Shopify Stores to Inspire New Entrepreneurs in 2020

 写真は ECサイトの例ですが、ビジネスオーナーは独自の ECサイト を構築し、自社商品を展示できます。出店料がECプラットフォームの利用料です。世界中の消費者が展示商品を購入すると決済されます。決済手数料もショッピファイの収益源です。 ビジネスオーナーは 自社の商品でなく他社商品を販売することもできます(ドロップシッピング)。

  ECプラットフォーム の利用料(出店料)は、サブスクリプションモデル(月単位)です。最も基本的なサービスの場合は、29ドル/月、サービスが充実してくると、79ドル/月、299ドル/月と利用料が上がっていきます。高い利用料のサービスを利用すると、配送や決済の1回あたりの手数料が下がるので、商品売買のサイズが大きくなればなるほど、79ドル/月や299ドル/月を利用することがお得となりそうです。

(引用;Shopify Pricing – Setup and Open Your Online Store Today – Free Trial

営業地域

 現在、世界175ヶ国で利用されています。米国、英国、カナダ、オーストラリア、インドなどの国での商取引が大きいようです。アフリカ大陸を除くと殆どの国のビジネスオーナーがショッピファイでECビジネスをしています(緑または薄緑の国が利用国です)。

(引用;In which countries is Shopify most popular? – Quora

強み

 ショッピファイの強みは、初心者でもECサイトの構築が容易、技術サポートが厚い、ECサイトやブランドの独自性を高くすることができる、商品価格に応じて決済手数料が変動する(安い商品の販売には有利)と言えます。

ショッピファイとアマゾンの比較

(引用;Shopify vs Amazon (2021): Which E-commerce Platform Is Best For Your Business? – Instructify

料金面での比較

 決済手数料で両サービスを比較すると、ショッピファイは2.9% + 30セント(クレジットカード)、アマゾンは0.99ドル/品、です。仮に1つの商品が10ドルだったとすると、 ショッピファイの手数料は0.32ドル/品と計算できるので、 ショッピファイの手数料はアマゾンの手数料と比べ、70%安いということになります。ただし、アマゾンの場合はProfessionalを選択しない限り出店料がかからないようなので、料金面からだけでみれば、取引量が少ないうちはアマゾンが有利、 取引規模が大きくなれば ショッピファイ 有利、となりそうです。

ブランディングでの比較

 上記の記事では、”Shopify vs Amazon (2021): Which E-commerce Platform Is Best For Your Business?”( ショッピファイとアマゾンはあなたのビジネスにとってどちらがベスト?)と題して、ショッピファイとアマゾンを比較しています。

 上記の記事では、出店料、決済手数料、カスタマイズ性、支援アプリの充実度、カスタマーサポートなど幅広い観点から比較されており、結果、独自性の高い自社ECサイトを構築したいならショッピファイが有利と結論づけています。

Verdict

Shopify is great for those who want full-ownership of their brand and business; Amazon is ideal if you want credibility and web traffic.

Shopify vs Amazon (2021): Which E-commerce Platform Is Best For Your Business? – Instructify

 ECサイトでは似たような商品が多くのビジネスオーナーから販売されてしまうことから、多かれ少なかれ、オーナーとしては独自性の高いECサイトや商品をどうやって出品するかを気にするはずです。ECの市場規模が大きくなればなるほど、類似のECサイトや商品が多く並ぶことのデメリットが多くなり、結果、ブランディングの面から見ればショッピファイが有利になっていくだろうと考えられます。

  ショッピファイとアマゾンのロゴはいずれもシンプルですっきりしています。どちらのサービスにしてもビジネスモデルが明確でシンプルであることを示しているのかもしれません。

日本での利用

 5年前まではあまり日本で知られていなかった ショッピファイ 。当時、ECサイトといえばアマゾンや楽天といった感じでした。最近、急速に日本でもショッピファイの利用が高まっています。

 2017年、日本企業のECサイトは1000件にも満たなかったのが、2021年、1万件を超えてきました。ビジネスジャンルは、アパレル、飲食、美容・健康などが中心です。これからますます日本でもショッピファイが利用されていきそうです

(出店;Shopify Stores in Japan (storeleads.app)

2020年本決算

売上

 順調に成長しています。

2019年2020年
売上(百万ドル)15782929

純利益/純損失

 2018,19年と赤字でしたが、2020年、黒字転換です。利益体質の変化を見守る必要がありそうです。

2019年2020年
純利益/純損失(百万ドル)-125320

基本EPS

  2020年、黒字転換に伴って、EPSもプラス圏内へシフトです。

2019年2020年
基本EPS(ドル)-1.12.67

希薄化EPS

 新株発行などの株式希釈化は殆ど起きていません。

2019年2020年
希薄化EPS(ドル)-1.12.59

営業キャッシュフロー

 営業活動は順調です。

2019年2020年
営業キャッシュフロー(百万ドル)71425

投資キャッシュフロー

 積極的な投資は続きます。

2019年2020年
投資キャッシュフロー(百万ドル)-569-1932

財務キャッシュフロー

2019年2020年
財務キャッシュフロー(百万ドル)7363557

バランスシート

 自己資本比率は約80%。強固な財務基盤です。

配当

 ショッピファイは今まで配当を払った実績はなく、近い将来にわたってその意図もないことを明言しています。配当でキャッシュを株主に還元するよりも、その資本を事業拡大に用いたほうが結果として株主に報いることになるだろうと ショッピファイは考えていると思われます。

Does Shopify pay dividends?

No, we have never declared or paid any dividends and we do not anticipate paying any cash dividends in the foreseeable future. We currently intend to retain future earnings, if any, to finance operations and expand our business.

Shopify – Resources

2021年第2四半期決算

 2021/7/28、第2四半期決算が公表されました。

売上

 高成長は続いています。

2020年1,2Q合計 2021年1,2Q合計
売上(百万ドル)11842108

純利益/純損失

2020年1,2Q合計 2021年1,2Q合計
純利益/純損失(百万ドル)52138

 特筆すべきは利益体質がさらに改善している点です。

 2021年の第1,2四半期決算で売上は前年同期比約180%でした。ところが、利益は 前年同期比 40,000%。利益率の改善は恐ろしいほどです。営業費用は、前年同期が約700(百万ドル)、今期は約900(百万ドル)となっており、コストが殆ど増加していません。売上はサブスクリプションと決済の手数料ですが、手数料が増加すればするほどそれがどんどん利益に変化していく体質に変わったと推察されます。

基本EPS

利益体質が顕著に増加してEPSも半期で既に20ドルに迫る増加となりました。

2020年1,2Q合計 2021年1,2Q合計
基本EPS(ドル)0.0417.25

見通し

 第2四半期決算の際に、通期について見通しも公表しています。

 2021年通期も売上大幅増の見通しのようです。2020年増収率(約86%)よりは低い見通しとも述べています。

In view of these factors and Shopify’s performance for the six months ending June 30, 2021, we continue to expect to grow revenue rapidly in 2021, but at a lower rate than in 2020. For the full year 2021, we continue to expect the following:

Exhibit 99.1 Press Release Q2 2021 (q4cdn.com)

株式

上場証券取引所、ティッカー

 ニューヨーク証券取引所に上場しています。ティッカーはSHOP。

株価チャート、時価総額

 2015年には数十ドル程度の株価だったのが、5年後には1,000ドルを超えてきました。売上成長と共に今年は利益体質の大幅改善もあって、今後の株価の動きは注目されていくと思われます。

 時価総額は約1810.7億ドル。日本円で約20兆円(2021年8月20日現在)。

(出店;SHOP 1,498.00 -5.20 -0.35% : Shopify Inc. – Yahoo Finance

取扱い証券会社

マネックス証券SBIでショッピファイ株を購入できます。

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